お見合い結婚狂騒曲
父もだが、母も私が高校一年の時に再婚し、各々家族を持っている。
変な話だが両家は仲良しだ。
母曰く、「私たちは親友であるべきだったかも」らしい。

なら、なぜ私は生まれてきたのだろう……と、ひと頃大いに悩んだが、アルバムを見る限り、その時、二人の間に確かに愛はあったと思え、自己完結した。

自分よ、生まれてきてくれて、ありがとう……と。

私は、母が再婚しても苗字を変えなかった。義父が嫌いというわけではない。ただ、昔も今も私の家族は祖父母だと思っているからだ。母が結婚したからと私まで姓を変える必要はない。

「本当にいいのかい?」と祖母は不安そうにしていたが、祖父は「苗字が変わっても親子であるということに変りはない」と私の決断を許してくれた。

そんな育ての親である祖父母は今も健在で、とても仲がいい。二人は私にとって一番大切な人たちで、私の理想とする夫婦だ。



ちょっとセンチメンタルになり、私は切れた携帯を見る。
良い人に出会えるといいね……かぁ……。

視線をローテーブルに向け、その上に置いたトートバッグを見る。
そこからチラリと覗いている釣書……見る気が起こらない。

『自分を知り、周りを見た方がいいですよ』

葛城圭介の言葉が蘇る。

「理想の夫婦像を追って何が悪い! 私は最高の……幸せが欲しいだけだ……」

選り好みなんかじゃない……知りもしないで、勝手な事を!
目元を掌で擦り、ガバッと起き上がる。

「お腹空いた!」

そうだ、何か食べよう! 元気になるにはシッカリ食べるべし! だった。
祖母の言葉を思い出し、キッチンに向かうと勢い良く冷蔵庫を開ける。


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