お見合い結婚狂騒曲
「ありがとう。でもね、葛城圭介先生、一ヶ月いないんだって、会えるのは一ヶ月後なの」

二人は顔を見合わせ、途端に鬼の形相になる。

「何ですって! 葛城先生ってば、何考えているんですか。付き合う気あるんですか!」

この台詞、何度目だろう。当然と言えば当然か。

「いくら忙しいからと、付き合い始めの相手を放っておくなんて!」
「全くよね。真央さんをバカにしているわよね」

馬鹿とはいつも言われています。

「ということは、クリスマスもボッチ!」

毎年、独りだから気にならなかったが、そうか、今年も一人なんだ。

「ダメです! クリスマスは一年で一番ロマンチックなイベントなんですから、独りだなんて!」

南ちゃんの瞳がウルウルし出す。

「私なら耐えられません!」

リア充たちは、そんなものなのか?

異国の殿方の生誕祭なだけだろう、と仏教徒の私は思うが……毎年、この時期の皆んなの浮かれ具合を見ると、そんなものなのかもしれないな、と思う。
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