お見合い結婚狂騒曲
合掌造りの店は、一見さんお断りのようで、入店時、かなり緊張したが、食事が始まるとあまりの美味しさに、一切気にならなくなった。こういうところ、単純で良かった、と自分で自分を褒める。

「ところで、一つ質問だが」

デザートは五種の中から二種選べる、と言われたので、メニューを真剣に見ていると、葛城圭介が改まった様子で言う。

「何でしょう」と身構える。

「デートというのは食事会のことか?」

一瞬、何を言われたのか分からず、黙って彼を見つめていると、葛城圭介が八つ当たりのように言う。

「自慢ではないが、僕はデートと思しきものをしたことがない」

確かに、それは自慢にはならない。

「ーーということは、今まで女性と付き合ったことが無い、ということですか!」

まさかその顔で?

「否、付き合いならある。色々誘われ、食事をし……」

モゴモゴと口ごもる。

「お盛んだった、ということですね」

思いっ切り嫌味を込め言う。

「後腐れのない女性たちばかりだ」

コヤツ開き直ったな。

「だから世に言うデートとはトンと縁がなかった」
「食事をして、ベッドへGO! ですか、最低ですね」

眉間に皺を寄せ、蔑みの視線を送る。
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