君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている
なんとか挽回しようとしたけど、すればするほど墓穴を掘る感じになっていくのはどうしてだろう。
「さっきもそうよね。ちゃんとした時間に起きてこないくせに、ご飯がないと文句言って」
「お、起こしてくれればよかったのに」
「いつまで親に起こしてもらう気でいるの? 大体ね、作ってもらえるのが当たり前って思ってるのが丸わかりなの。やれ朝練だなんだって、早起きして用意するこっちのことも少しは考えないの?」
「それについては、いつも感謝してるっていうか」
「手伝いのひとつしないから、大変さが何もわからないのよ。ご飯もそう、洗濯もそう、掃除もそう。あんたは剣道やって帰ってきて食べてお風呂入って寝て、朝起きたらまた全部そろってる1日が始まるんだから。その間にお母さんや友花がいったいどれだけのことをやってるか……」
「わかったわかった! あたしが悪ぅございました! これ、優ちゃんにあげてくる!」
いつもの長いお小言に発展してきたので、さっさとタッパーたちを紙袋につめこんで、逃げるように家を飛び出した。
止めてくれる友花もいない時は、逃げるにかぎる。時間が経てばお母さんもケロッとしてるから問題ない。完全に忘れてくれればありがたいんだけど、そうはいかないみたいだ。