君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている



2通目は、同じく帰宅部で同級生の男子生徒だ。

1組でわりと目立たない、おとなしい人らしい。

中肉中背で、これといった特徴はなく、大勢の中で簡単に埋没してしまう男子とか。


ひどい言いようだな。深月は男子にも容赦がないんだから。

そう思ってたけど、実際本人を目にして深月の形容が間違ってなかったことがよくわかった。


1組の鈴木くんは中肉中背で、目鼻立ちの薄い、どこにでもいそうな感じの男の子だった。

ドラマのエキストラにでもなれば引っ張りだこなんじゃないかというくらい、見た目は平凡の中の平凡。



「えっと……鈴木くん?」

「はい。鈴木です」


1階正面玄関の靴箱前で、捕まえた鈴木くんは、不思議そうにあたしと深月を見比べている。


なんて……害のなさそうな男子だろう。

優ちゃんや深月みたいに大人気になるようなタイプでは絶対ないけど、たぶん誰かにものすごく嫌われるってこともなさそう。そんな印象を受けた。


「もしかして……勧誘?」

「え? か、かんゆう?」

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