君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている
「コイツ、鈴木の顔知らないっつーから」
おい、そこまで明け透けに言うか!
肘で深月の脇腹を突いてやったけど、奴はしれっとそっぽを向いた。
「あー。僕地味だからね」
「いや、そうじゃないよ! あたし他のクラスの男子ってほとんど顔と名前一致しないんだ。鈴木くんだけってわけじゃないから」
「いいよいいよ、気にしてないから」
地味って言われなれてるしねと鈴木くんは言うけど、決して自分を卑下してるわけじゃなく、朗らかに笑っている。
あたしの鈴木くんへの好感度は上がっていく一方だ。
「でも、鈴木くんのことを地味じゃないって思ってる子はいるよ」
バッグに残る2通のうち、花柄の手紙を取り差し出した。
一重の小さな瞳を丸くして、鈴木くんはそれを凝視する。
「鈴木くんに、ラブレターのお届けものです」
「俺に……? いったい誰から」
こわごわ、といった感じであたしから手紙を受けとる鈴木くん。
「本当に僕で合ってる?」と疑わしげなのがおかしかった。いいなあ、鈴木くん。癒される。