【短編】遠距離サンタの贈り物
「電話なんて珍しい。どうしたの?」
「そろそろだと思ってさ」
「そろそろって?」
「なあ、今年は?」
「えっ、何」

今年は?、って、もしかして会えるの?
その言葉に私の心臓が高鳴りだした。4年越しの願いが叶う?


「だからリクエスト」
「り、リクエストって……」


私の頭の中で妄想が繰り広げられる。表参道に行ってイルミネーションを見ながら歩いて、カップル限定のレストランで食事をして、ホテルの高層階の部屋にお泊まりして、いや、自宅でのんびりイチャイチャするのも……。


「だから今年はどんな我が儘言うかな~って」
「え……?」
「去年のサンタは最高だったろ?」
「……」
「友達が子供以上に驚いたお前が面白かったって言ってたぞ?」
「面白い……」


へえ。面白い……。


「今年はソリにトナカイも付けるか??」
「馬鹿」


彼の豪快な笑い声が聞こえて、私は震える指でブツリと通話を切った。


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