星の降る夜、僕は君に嘘をつく。
あれから何度となく心春の部屋を探した。
けれど何も見つけられなかった。

心春がいなくなってから4週間が経とうとしていた。

心春のいう“しないといけないこと”が終わって彼女自身から戻ってくるのを待つことしか出来ないのか。

俺はついに諦めかけていた。

ぴんぽーん

俺は心春が帰ってきたのではないかと少しの淡い期待を持ってドアを開けた。

「心春っ!?」

俺はそう言って顔を覗かせると目の前には訳のわからないといった顔をしている心春の先輩である椿がいた。

「心春、いる?」

唐突にいう彼女は真剣な表情をしていた。

「いない。」

「ゴメン、ちょっと上げて。」

そう言って俺の横をすり抜けていった。

「おい、ちょっと待て。」

俺はその黒い髪を追いかける。
彼女は階段を登り心春の部屋に入る。
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