星の降る夜、僕は君に嘘をつく。
心春がいなくなって1分もしないうちに部屋のドアが開いた。

そこから現れたのは彼女の兄、碧。

「伊集院椿さん、でしたっけ?」

「ええ、佐伯碧さん?」

私の名前を確認した彼に私は同じように聞く。

「歳、聞いていいですか?」

「高2で今16です、2月に17に。」

私ははっきりと答えた。

「あぁ、ならタメだ。
タメ口でいいよ、俺もそうするし。」

私の年齢を聞いた彼は少し安心したようだ。

「変なこと聞くようだけど、心春に変な虫、ついてない?
あ、もちろんわかる範囲でいいから。」

やっぱりシスコンなんだと思わせる質問。

「虫ってどんな?
心春をイジメる奴か、男か。
前者ならNoで後者ならYesとしか言えない。

彼女はうちの部のエースって言われてて抜群の才能と表現力。
舞台で目立たない訳がない、しかもあの容姿。
彼女のファンは腐るほどいる。
男だって例外じゃないわ。」
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