今の私は一週間前のあなた



頭を抱えて俯く私をもう1人の“私”が

抱きしめた


「な…」

驚く私の声を遮ってもう1人の“私”は囁くように言った


「彼氏が好きなんだね」


優しい声が頭に響く


「……うん」


頭の中の雑音を押しのけて入ってくる
何故か包み込むように言葉のすべてが中に入ってきた
優しくて
それはただ優しくて。



「庇われてしまった自分が許せないんだね」



もう1人の“私”の言葉はやはり私の心を読むように的確に当てられていた

「…うん…」

そうだ
許せない

私なんかが生きてしまったことが許せない


「友達も家族も大切なんだね」



「………うん…」


そう、だよ

どんなに私は嫌われていても
笑った日々はちゃんとあったんだから


もう1人の“私”の言葉が
真っ直ぐに体を、心を突き抜けて。

「…頑張ったね」


「…っ」
同じ声のはずなのに
自分に言われてるはずなのに


今までのどんな言葉よりも
透き通っていて
強かった

私...頑張ったのかなぁ...?
涙が頬を伝るけれど
何故か心がスッキリしていく気がする


暗い暗い音も

ズキズキと痛む頭も

すぅっと消えてしまった


ただ残ったのは




悲しいということ




そして

寂しいということ





「っ…しゅ…やぁ」

嗚咽を漏らしながら彼の名を呼ぶ

好きだという想いが
ごめんねという後悔が
ありがとうという感謝が

私を取り込んでゆく


「…うん」



抱きしめられる腕を握り返せば
涙は溢れて止まらなくなった



「うわぁああぁぁぁ」



全部を曝け出して
初めて泣いた


周りなんてなにも考えず
ただただ

何かに縋るように

叫んだ




ずっとずっと


ひとりで

1人で

独りで


修也を忘れまいと

自分を許すまいと


この1ヶ月生きてきた



ねぇ修也


私が死ぬまであと一週間



すこしだけ時間を進めてもいい?

少し、前に進んでもいい?
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