今の私は一週間前のあなた


昨日と同じように少し前まで通っていた中学校を前にひとつ、ため息をこぼした




「…乃々はさ、」

どうして私の過去を知っているの?




ふと、思いついた疑問
知っているから
遊園地や小学校に連れて行ってくれた

しかも、私が忘れてしまっていた約束を知っていた

…乃々の姿が私にしか見えないわけじゃない
昨日、先生にもその姿は見えていたから

頭の中で作られた幻覚ではない
それはわかっていた


それなら、なぜ…?
なぜ私の過去を知っているの?



突如
乃々の声が頭に響いた
『“私は何?”についての質問はまた今度でいい?』

…あ…。
乃々が言った言葉を思い出して
思いついた質問を飲み込んでいうのをやめた


「なに?」
乃々が私に首を傾げて微笑む


「…いや、なんでもない」

私は笑い返して首を横に振った



私の質問にきっと乃々は答えてくれない。

『あなたは何?』という私の質問の答えになると思うし
『また今度でいい?』そう言われたから…

乃々が教えてくれるまで待つしかない


「そう?」

「そうだよ」


無理矢理笑って足を進めた
校門をくぐり職員室の扉を開くと私は微笑んで言葉を紡いだ


「…お久し、ぶりです。少し…見ていってもいいですか」





私に驚いた瞳が一心に集まる
卒業生が来ることは珍しいのだろうか
小学校の先生はあまり驚かなかったけど


…ここにいる先生たちも
修也が死んだことを知っているのだろうか


私の喉がゴクリと息を飲んだ
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