この熱は消えぬまま
「何だって?」

「わたしと真由は双子の姉妹なの。だから表面的には何も変えることは必要なかったし」

 彼に真由とのやりとりをすべて話して聞かせた。

 話しながら、わたしの中にまだ真由の残像が残っているのに気がつく。

「そうだったんだ」

 わたしはもう一度真由に身体を貸すことにした。
 
「最後に真由と話をしてあげて」

 目を閉じる。

 意識が真由と入れ替わる感覚があった。

 昨日と違い、わたしは真由と和馬との会話が全部聞こえていた。

 真由が和馬のことをどんなに思っていたかもわかった。



「ありがとう」

 真由の姿が目の前にあった。

 わたしは再び自分の身体に戻ってきていた。

「彼は?」

「眠らせたの。もしかしたらわたしと会ったのは夢の中の出来事だったと思っているかもしれないけれど、それでもいいと思っている。わたしの言葉は彼の中に残っているはずだからね」


「そうか」

「もうすぐ夜が明けるね。今度こそ向こうにいけるよ」

 真由の姿が薄れていく。

「お姉ちゃん、ありがとう」

 その一言を残して、彼女の姿は完全に消え去っていた。
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