この熱は消えぬまま
 俺たちは1年前まで付き合っていた。

 こうして毎年のクリスマスのイブも一緒に過ごしていた。

「ねえ、腕組んでいい?」

 俺が答える前に腕にしがみついてきた。
 
「うふふ」

 嬉しそうに真由が笑うから、俺も笑顔になった。

 イルミネーションに飾られた街中を歩く。

「綺麗ね」

「そうだな」

「このままずっと一緒にいたい気分になっちゃうよ」

「じゃあ、一緒にいようよ」

「でも、彼女とかいるんじゃないの?」

「いないよ」

 真由が遠くに行ってしまってから、ずっと1人だった。

「本当に?だったら今日は和馬くんを独り占めしてもいい?」

「いいよ」

「それなら、二人でクリスマスパーティーしよう。ケーキを買って、シャンパンも買って」

 途中で買い物をして、家へと急いだ。



「じゃあ、まずは乾杯だね」

 グラスに注がれたシャンパンで乾杯する。

「時間があったら、自分で料理して食べさせたかったなぁ」

「そうだな。また・・・」

 今度と言いかけてやめた。
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