リンカーンはアメリカンコーヒーを三杯飲む。
紗栄子が起きてきたのは、お昼頃だった。
「金子は?」
「どっか行った。」
「あ、そう。」紗栄子が冷蔵庫から缶ビールを2本取り出し、その1本を私に差し出した。
「紗栄子って、未成年だよね?」
私は缶ビールを受け取りながら訊いた。
「だから?」
「いや、別に。」
缶ビールを開けて、一口口に含んでみた。苦い味とスプーンを舌にくっつけて、離した時のような金属の何とも言えない味が広がって、また吐き気がした。
でも、同じ未成年で同じ女の紗栄子は、腰に手を当て、喉を鳴らしながら飲んでいる。
つまり、これは美味しいということ。アメリカンコーヒーの苦さが美味しさに変わった時のように、美味しいと思えばきっと美味しくなる。