「お前に死に方を選ばせてやる」
やってきた殺し屋
「お前に死に方を選ばせてやる」
 眼前に銃を突きつけ、男は言った。
 ふっ、どうやら俺の人生はここでジ・エンドのようだ。まったく、長かったようで短い一生だったぜ……。
 思えばどうして命を狙われることになったんだか。そうか、二億円の宝くじを全額貯金したからか。「ご寄付をー!」とか叫ぶ団体に一円も与えなかったから、殺し屋を雇って復讐に来たに違いない。
 どうせなら二億円を使い切ってから死にたかったが、そうはさせてくれなさそうだな。
 二億円に手がつけられなかった分、最期くらい思い通りにさせてもらおう。
「萌え死」
「は?」
「死に方だよ、死に方。好きな死に方でいいんだろ? 萌え死」
「焼死のことか?」
「違うって」
 まったく、これだから最近の殺し屋は……。時代の流れってものを知らないな。だいたい、今時は美少女が殺しに来るもんだろ? そうなれば素直に死を受け入れることくらい容易いのに。
 よりにもよって話の通じない野郎かよ。ふっ、世も末だな。
「仕方ねえな。じゃあ百万歩譲って……」

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