桃色吐息
14
今朝の待ち合わせは目黒駅だったから、少し余裕をもって準備ができた。

今日もかなり暑くなりそうだし、この前エイジくんと一緒に買ったワンピースを着てサンダルを履いていく。

あ、そうだ、お弁当とか作ればよかったかな?なんて思ったけど、もう時間がなかったから諦めた。
今度ちゃんと相談してから作っていこうかな・・・



また二人とも待ち合わせより早目について、電車を何個か乗り継いで葛西に向かった。


もうすぐつく頃には、車窓から海が見えて、綺麗だなぁってうっとりする。
二人で海みたかったんだよなって思い出す。

エイジ君の顔を見上げると、やっぱりうっとりと海を見ていた。


いつも自然と、手を繋いでいる。それが当たり前になっていて、とても幸せで、ああこれだけでいいやっていつも思う。

ただ2人でずっと、綺麗な景色でものんびり見れれば、それだけで満足だなあ・・・



水族館に着くと、子供達がいっぱいで、なんだかこっちまで楽しくなってくる。
うちにもよく子供が遊びにくるんだよね。小さい子と遊んでいると、大変だけど楽しいんだ。
そんなことをエイジ君に話してみる。

「桃は、早く子供欲しかったりするのか?」

いきなりそんなことを聞かれて、一瞬戸惑った。


「え?いやそうだね、うちのお母さんは割りと晩婚だったから、私は早いほうがいいかなって思うけど・・・」


なんだか、そういうことやりたいのかって聞かれてるみたいで、なんだか恥ずかしくなってうつむいてしまった。



水族館の室内に入ると、薄暗くて涼しくて、とても気持ちよかった。だけど子供がやっぱり多くて、水槽をゆっくり見てられなくて、なんだか遠慮して遠めで見てしまう。

一番大きなマグロの水槽まで来ると、やっと人が少なくなっていて、いい感じで眺められるベンチがあったから、そこで休憩することにした。


エイジ君はいちいち魚の説明書きとか興味深く読んでいて、その内容を色々教えてくれた。
意外と勉強好きなんだなあってなんとなく思う。



2人で並んでベンチに座る。
ちょっと疲れて彼の肩にもたれかかると、繋いでいた手を離してそっと肩を抱いてくれた。
なんだか嬉しくなってエイジ君の顔を見あげると、一瞬目が合ってすぐに目をそらされてしまった。




キスがしたいなあ・・・



そんなことを考えていた






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