桃色吐息
当たり前のように今日も表参道駅まで送ってくれる途中、目の前から歩いてくる、凄いオーラを纏った男性に会った。

一瞬でわかる、隠そうとしても隠しきれないその存在感…


「あ、ジュンさん…」

私は思わず声をかけてしまって、ジュンさんもサングラスをはずし、気付いてくれた。


「桃ちゃん、どうしたの？買い物かなにか？」

エイジ君もすぐに気づいてくれた。


「すぐそこの店で、エイジ君がバイトしてるもんで…」


さりげなく彼を紹介しながら語尾を濁すと、ああ、デートみたいなもんかって笑って言ってくれる。


「ビトのお父さんですよね？」

エイジ君ははじめましてって挨拶する



「そっか、紅緒から聞いてたけど、そっかぁ～」

なんだかちょっと嬉しそうだ。



「ジュンさんは今日はオフですか？」

当たり障りのないようなことを聞いていると、紅緒って誰ってエイジ君が私に小さい声で耳打ちする。
ベベさんのことだって教えてあげると、ああってやっと納得してくれた。


「そう、たまには服でも買おうと思って来たんだけど、これから暇？」

お茶でもしないってい誘ってくれて、私は暇だけどエイジ君はバイトだよなって思って正直にそう伝えた。
ジュンさんはエイジ君の服屋がどこだか聞いてくる。


「ああ、ビトがモデルしてたあのブランドか、ちょっと見に行こうかな？」

そんなことを言い出すので、戸惑った。


「いいっすけど、桃どうする？」


もうエイジ君の休憩時間も終わっちゃうし、時間もないから、じゃあ私も戻るって、ジュンさんについていくことになってしまった。



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