白の世界 (幼少期編)
「入れ」
ゾクッ
体の奥深くにまで響くような低い声が私たちを襖の奥に誘う
リュージは私を床に下ろす
「俺についてこいよ、あとは俺の真似をすりゃいーから」
それにこくりと頷く
「失礼」
そう言うと、リュージは鳥の襖をあけた
中には少し白髪が混じりの男の人が座っていた
たぶん、いや、絶対にこれがリュージのお父さん
整った顔立ちはまさにリュージそっくりで、リュージの父と言うからには歳もそれなりにとっているはずなのに若々しさを感じる
リュージがその人の前で座ったため、私もリュージの隣に正座した
「ほぉ、その子が…」
「俺の娘、白と書いてココロと言います」
「ココロ、か…。」
彼は私に鋭い眼差しを向ける
彼の視線に私は逸らすことはしなかった
彼の瞳からは怖い感じがしなかったから…
しばらくそうしていると、彼が口を開く
「リュージ、この子と二人にしてくれ」
「できません。」
「リュージ」
「はーーーーぁ、出来ねぇっつってんだろーが、くそじじい」
先程までの緊張感はどこへやら、リュージは彼を鬼の形相で睨みつける
「はっはっは!リュージが敬語で堅苦しいからこっちはモゾモゾして気持ち悪かったぞ」
彼もひーひー笑い出した
さっきまでの二人とはまるで別人だ
「うるせぇ、こっちが下手にでてりゃいい気になりやがって、
俺の可愛い娘をてめぇとふたりっきりにさせられるかバーカ」
「む!バカとはなんだ!いいじゃないか!俺の孫娘だぞ!」
その後もなんだなんだとぎゃーぎゃー言い合う二人