君の背中に見えた輝く翼に、私は恋に落ちました
なぜか怒っている璃子と

一緒に席に戻ると

聖奈ちゃんが声をひそめて話しだす。

「今のもしかして…時田麗奈?」

「うん…そうだけど。なんで?」

わたしが尋ねると

聖奈ちゃんはわたしと璃子を

席に座らせて話しだした。

「時田麗奈って桐生に

こないだ告ってフラれたらしいよ」

えっ…そうだったんだ…

しかも!と言ってわたしを指差した。

な、なに??

「なんて断られたと思う?」

意味ありげな表情の聖奈ちゃんは

ニヤニヤしながら驚くことを言った。

「同じクラスの春瀬が好きだから、

付き合えない。

そう言ったらしいよ?」

えー!?

なんで、わたし!?

っていうか、ありえないよ!

「あたしも聞いた、それ。

同中の友達がその告白現場を

目撃して聞いたって言ってた。

春瀬が好きだから付き合えないって」

わたしはさっきの時田先輩の

態度を思い返していた。

確かにジロジロは見られたけど…

桐生くんがわたしを好きなんて

ありえないよ…

可愛くもないし、取り柄もない

わたしのことなんて…

「てか、さっきの会話。

完全に流羽に八つ当たりじゃん!」

璃子は分かってたんだ…

だから、わたしのところに

走ってきて

時田先輩を睨んだんだ…

「大丈夫だよ、璃子。

それに、桐生くんがわたしを


好きなんてありえないよ!

絶対聞き間違いかなんかだよ!」

わたしが笑顔で答えても、

璃子は不機嫌なまま。

璃子はわたしをイジメる人や

悪口を言う人には過剰に反応する。

それが自分より大きくても

敵わなくても

わたしを守ろうと闘ってくれる。

璃子をそんな風にしたのは

わたしだ…

わたしが弱いから。

璃子…ごめんね。

「まぁ、そだね。

本人から告られたわけじゃないし…

あくまでも噂だから」

わたしと聖奈ちゃんの言葉でも

納得していない様子の璃子。

そんな璃子にわたしは

笑顔でこう言った。

「そうだよ!あくまで噂の話でしょ?

時田先輩も噂を耳にしただけ

なんじゃないかな」

でもなぁー…と考え込む璃子。

「噂話に流羽の名前が出たのは

びっくりだけどねー。

でもクラス委員で一緒に居ること

多いから、周りからはそう見えた

だけかもだよ?」

「そうだよ、きっと!」

うんうんと、頷いた。

クラス委員で一緒に居るところを

誰かが見て、勘違いしただけ…

みんな、この手の噂話

大好きだもんね。

特に、恋バナは…

噂に尾ひれが付いて、

ありもしない事で、盛り上がる。

等の本人が、どう思うかなんて

考えもせずに…





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