君の背中に見えた輝く翼に、私は恋に落ちました
教室へ向かいながら2人で

並んで歩く。

委員の仕事ではよく一緒に歩くけど

一緒に登校は初めて…

改めて考えると、これは

ものすごく恥ずかしい。

でも、それ以上に嬉しい。

だって3日間も会えなかったんだもん!

「そういえば、風邪もういいのか?」

1人、顔がにやけてしまいそうに

なるのを堪えているわたしに、

心配そうな声で尋ねてきた。

「あっ…う、うん。もう平気」

本当のことが言えないからって

嘘ついたり…誤魔化したり…

やっぱり後ろめたい。

それに桐生くんには特に…

「そうか。じゃあ今日から復帰?」

「うん!もちろん!」

「あんまり無茶すんなよ」

そう言って頭を撫でてきた

桐生くんは

すごく優しい眼差しで…

わたしはまたドキドキする。

好きな人に触れられるって

すごく恥ずかしいけど…嬉しい。

「うん、無茶はしないように

気をつけるね」

わたしは桐生くんの手の温かさが

微かに残る頭に触れた。

手はとっくに離れたのに、

いつまでも残る微かな温度…

それだけですごく

幸せな気持ちになれる。

恋って不思議だ。

そうこうしてるうちに

わたし達は教室にたどり着いた。

もう少し一緒にいたかったな…

自分の席へと向かう桐生くんの背中を

見つめながらそんなことを思っていた。

その時…

ドタドタ!!!!

すごい音が廊下から聞こえてくる。

なんだろう?

バァーンッ!!!

すると突然すごい勢いで

ドアが開いて…

うわぁ!な、なにごと!?

そこにいたのは日向くんで

すごい神妙な雰囲気が漂っている。

ニコニコ笑うのが印象的な人なのに…

どうしたんだろう?

「翼っ!!ちょっと!!」

突然の大声に教室にいるみんなは

びっくりしている。

桐生くんは面倒くさそうに振り返り

日向くんに近づいていった。

「大輝…おまえ朝からうるせぇ」

「いいからっ!こっち来い!!」

日向くんは桐生くんを引っ張って

教室を出て行った。

突然のことにみんながざわつく。

ほんと、なにがあったんだろ?

わたしは1人首を傾げた…
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