君の背中に見えた輝く翼に、私は恋に落ちました
続々とみんなが登校してくる。

その中に聖奈ちゃんもいた。

トボトボ歩く聖奈ちゃんは

いつもの元気がない。

「おはよう、聖奈ちゃん!

どしたの?元気ないね?」

わたしが話しかけると

すごく気まずそうに

笑う聖奈ちゃん。

「おはよー、流羽!なんでもないよ!」

なんでもないって感じじゃないよ?

聖奈ちゃん…

「本当に?悩み事とかあるなら

わたし聞くよ?璃子もいるし…」

「ううん、本当になんでもないの!」

ニッコリ笑う聖奈ちゃんは

やっぱり元気がない…

わたしには話せないことかな?

でもいつか話してくれたらいいな。

「聖奈、今日放課後空いてる?

ウチら今日部活休みなんだよね。

天使の森、3人で行かない?」

璃子の言葉に過剰な反応を見せ

みるみる元気になっていく。

「行くっ!絶対行くっ!!」

わ!急に元気になった!!

透さんに会えるのが嬉しいのかな?

「じゃあ決まりっ!」

璃子の一言で

天使の森行きは決定した。

放課後楽しみだなー!

元気になった聖奈ちゃんと

押され気味の璃子を見つめていると

日向くんに呼ばれて出て行った

桐生くんが戻ってきたのが見えた。

いつもの無表情だけど

なんか纏う空気がピリピリしてる…

機嫌が悪い?

席に向かう桐生くんは

やっぱりいつもと違って見えて…

なにかあったのかな?

キーンコーンカーンコーン…

始業のチャイムが鳴って

わたしの思考はそこで途切れた。

でもそれは一瞬だけで…

桐生くんのことが気になって

授業が終わるまで

ジッとその背中を見ていた…

桐生くんは終始

何か考え込むように

ずっと、苦しそうな表情で

朝に会話してから

結局、一言も交わせないままだった。

それに目も合わない…

いつもなら何度か合うのに、

意識的に逸らされているような

そんな感じがして、

チクっと痛んだ。





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