君の背中に見えた輝く翼に、私は恋に落ちました
「春瀬、調子どうだ」

わたしに語りかけながら

一歩ずつ近寄ってくる桐生くん。

「…うん、大丈夫だよ。

桐生くんはどうしたの?

リレーの練習は終わったの?」

わたしの隣に

腰掛けた桐生くんは

わたしを見つめながら…

「充電しに来た」

「えっ?充電??」

わたしが首を傾げると、

優しい眼差しで見つめながら

「春瀬を充電しに」

えっ…

そう思った瞬間、わたしは

桐生くんの腕の中にいた。

っ!!!

なになにっ!?

なんで抱きしめられてるの!?

わたし、断ったよ…

無理だって…

わたしのドキドキが

桐生くんに伝わるんじゃないかと

小さく身じろぎする。

そんなわたしの小さな抵抗も

わたしより大きな桐生くんには

叶うはずもなくて…

より一層強く

抱きしめる桐生くん。

「春瀬の抱えるもん、

俺にも半分持たせてくれよ」

「…な、なに…言って」

腕を緩めた桐生くんは

わたしを見つめながら、

優しく微笑んだ。

わたしの気持ちが

全て見えているような、

綺麗に澄んだ瞳…

トクトク鳴る胸を押さえながら

わたしは桐生くんを見上げた。

「俺のこと嫌いか」

わたしは黙って首を振る。

「じゃあ…好き?」

わたしは桐生くんの瞳から

逃げるように、逸らした。

好きだよ…大好き…

でも…

これは…

この気持ちは伝えられない。

桐生くんの腕の中で

黙るわたしに、

腕を緩めていた桐生くんが、

また強く抱きしめてきた。

そんな包み込むみたいに

抱きしめないで…

わたしは…

その想いを

受け取っちゃダメなんだもん!

わたしのせいで

桐生くんの輝く未来を

縛ることなんて

出来る訳ないんだよ…

「わたしは…桐生くんを…

好きになっちゃいけない。

ならない!」

ありったけの力を込めて

わたしは桐生くんの腕の中から

逃れた。

わたし、酷いこと言ったんだよ?

なのに…

どうしてそんな優しい目で

見つめるの?

やめて…

本当の気持ちが溢れちゃうから…





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