君の背中に見えた輝く翼に、私は恋に落ちました
そんな中、わたしのミサンガ作りも

佳境に入った。

はじめの頃は慣れず

本と睨めっこしていたわたしだけど

数をこなすうち、本を見ずに

作る事が出来ていた。

そして体育祭前日の朝、

残り一本を仕上げて、わたしは

達成感で満たされていた。

最後の一本は桐生くんのミサンガ…

初めて出会った時に見た、

キラキラ輝く翼を

イメージして作ったんだ。

綺麗に晴れた空を背に

キラキラ輝く翼が見えたあの瞬間を…

その日わたしは放課後のHRに

出来上がったミサンガをみんなに

渡すべく、先生から時間をもらって

教壇に立った。

「明日はいよいよ体育祭です。

わたしはみんなの応援しかできないけど

みんなの頑張りが身を結ぶように

願掛けをしたミサンガを作りました。

願掛けなんかしなくても

きっとみんなのこれまでの

頑張りは良い結果になると思ってます!

それでも、何か役に立てたらって…

立ちたいなって…」

みんなの視線を一気に集めている

自分に耐えられなくなって

言葉が尻すぼみする…

すると、みんなが一斉に歓喜の声を

あげた。

「うおー!!

俺たちの可愛い女神さまからの

想いがこもった送りもんだぜー!!」

「うそー!!やばい!!

泣きそうなんだけどー…」

女神って…大げさだけど。

でも、こんなに喜んで貰えるなんて

思ってなかったよ…

頑張って作って良かった!

ミサンガを入れた紙袋を持って

1人1人に手渡していく。

周りの視線を気にするあまり

周りをよく見る癖がこんな事に

役立つなんてね…

誰1人として同じ色は使わなかった。

だって【十人十色】という言葉が

あるように、考えも性格も好みも

みんな1人1人違う。

だからひとつとして

同じものは作らなかったんだ…

璃子には、太陽のように暖かくて

活発なイメージの赤を選んだ。

【勇気•愛情•積極的】という

意味を持つ…

璃子にピッタリの真紅の赤。

聖奈ちゃんには、親しみやすさや

元気なイメージのオレンジを。

【元気•陽気•明るい】という

意味を持つ…

聖奈ちゃんにピッタリの山吹色。

そして…

桐生くんには、

晴天の澄んだ空のような

広大なイメージの青を…

【誠実•冷静•相手を尊重し思いやる】

そういう意味を持つ、

天色(あまいろ)にした。

わたしの態度が変わっても

桐生くんは告白する前と変わらず

誠実に真っ直ぐに…

そして…

わたしの気持ちを

尊重するかのように

何も言わず見守ってくれている。

どこまでも優しい、

わたしの想い人。

言葉では、伝えられない想いを

わたしはミサンガに込めた。

好きという気持ちと…

そして、幸せを願う気持ちを

たくさん詰め込んで。
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