記憶を失くした少女【完】


「アイツ、女の友達なんてほとんどいねぇから仲良くしてやってな」


なんか意外………!

たくさん友達いてもおかしくない子なのになぁ。


むしろ普通の学校なら、クラスの中心とかにいそうな感じの子なのに。


「不思議って顔してんな」

「へ……っ!?」


なんでわかったの!?

そんなに私、顔に出してた!??


「萌は1年の2学期頃に転校してきたやつでさ、正直この学校に馴染めてなかった。それを気にかけた大平が萌を姫にする相談を持ちかけたんだ」


「へぇ……優しいね、大平くん。1番萌ちゃんを大切にしてるの大平くんじゃないのー?」

「かもな。アイツと萌は幼なじみらしいから」


え!!幼なじみ!!!?

なんかいいなぁ!そうゆうの憧れる……………。


「今となったら萌を姫にしたこと正解だと思ってる。気遣いのできるやつだし、何よりRYUSEIに活気が増した」


そう言う遥輝の顔は何だか優しそうだった。


仲間のことになるとこんな感じになりよね、遥輝は。


「それと同じだ。俺は綺羅が姫になっても後悔しない。今はこんな形だが、いずれは姫になってほしいと思ってる」


姫……………か。


仲間を支え、そして守られる存在。


私に姫が務まるかわからないし、入ったことによって仲間の和を乱すのは嫌なんだよね……………。


こうやって友達でいた方が、私的には楽なんだけど………。


「みんな遅いね」


誤魔化すように、話題を変えた。


「お前今話そらしただろ」

「気のせいじゃな~い?」

それに姫1人いるならもういらないじゃんってなる。





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