記憶を失くした少女【完】



「…………綺羅。こいつ相手にしなくていいから」


そういって、ハァ……………と凌馬さんは深いため息をついた。


「なんだよ、つめてぇな~(笑)」


「ほら、向こういけ。お前の席はあっちだろうが」

「もうちょっと、綺羅と話すー♪」


無邪気というか…………若いというか。


確か、旭川さんも25歳だったよね?

今聞いちゃダメなのか?


「旭川さ……」


「綺羅」


聞こうとしたとき、凌馬さんによってその言葉は遮られた。


「もう、22時だ」


ふと、店内に設置されている時計を見上げると21時55分と、確かに22時近い。


あれからだいぶ経ったと思うと、不思議な気分だ。


「それじゃあ、私は帰るね」


近くに置いていたカバンを持ち上げる。


「えー!まだいようぜー!!」

旭川さんは引き留めようとするが、さすがに高校生でこの時間は補導されるし………………。


「じゃあね」


「あ、綺羅」

前を向く前に凌馬さんから引き止められた。


「最近、あの学校もそうだが乱れてる。危険に巻き込まれないよう注意しろ」

「………え?」


なんで、急にそんなことを……………?


「それとRYUSEIには絡むな」


_______ドクンッ。

な、何で凌馬さんがそんなことを言うの……?


「まぁ、お前はかからわないと思うけど念の為だ。いいな?」


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