記憶を失くした少女【完】
「なぁ、旭川」
「あ?」
旭川は自分の席には戻らず、俺の作ったカクテルを綺羅が座っていた席の隣で飲んでいる。
「あの日を覚えてるか?」
旭川のことだから、忘れたはないだろうけど。
「あれか?県内トップ3位の蝮(まむし)を潰した日のことだろ」
「あぁ。蝮は薬(やく)に手を出していたし、あの繁華街の裏路地を巣にしていた為、良くないと感じた俺らが計画をねってあの日、あの場所を訪れた」
だか……………あの場所に、
「ガキが2人いて、俺らの計画が狂った」
「って言っても、俺が来る前に凌馬が全員倒したけどなぁ~」
「…………………あいつら、まだあの言葉覚えてたんだな」
確かあの時、俺言ったもんな。
お前の族を作って、俺を倒しに来いってな。
名を轟かせたら、いずれは俺の目に止まり戦わざるを得ない日が来るかもしれなかったから、俺はそう言った。
あれから月日は経ったし、忘れたと思っていたんだが。