記憶を失くした少女【完】
強く願ったその時、
_____ザワ………。
外が急に騒がしくなった。
「騒がしいなぁ……」
男は気を取られてる。今がチャンス!
_____ドカッ!
足で男の体を蹴飛ばす。
これは気休め。直ぐに怒って殴るに違いない。
「この女………………………」
殺気を放ち、直ぐにでも殴りかかってきそう。
でも、何でだろう。
これよりもスゴイ殺気が、どこからか………………。
____ドカ!!!!!
そんな音と共に、前にいたはずの男が横にぶっ飛んだ。
一体何が起こって………………………。
上を見上げると、フードを深く被った人が私を見下ろしていた。
下からのアングルだからもちろん顔は見えるわけで
この人は……………………
「綺羅!!!!」
凌馬さんはしゃがみこむと私を強く抱きしめた。
なんで凌馬さんがここに__………?
「もう1人はどこ?」
「萌ちゃんはここからどうにかして出させたの。捕まってないといいんだけど………」
混乱した頭で必死に伝える。
「大丈夫なら安心だ。取りあえず深い話は後でな。今はここから出るか」
凌馬さんは私にフード付きジャンバーを手渡し、肌けた姿を覆い隠した。
そういえば服を引きちぎられて下着丸見えでした…………(笑)
奥で誰かが戦っているのか、スゴイ音が聞こえる。だけど数分もせずにシーンと静まり返ったとこをみると、終わったらしい。
「おい、旭川。片付いたらさっさと退散すんぞ」
「はいよ~。あ、綺羅ちゃん大丈夫~?」
同じくフードを被ったまま、私の前に登場したのは旭川さんだった。
この2人がほんとなぜここに!!??
「入り口にバイク置いてるから」
そう言って向かっていると、入り口に何やら見たことのある面影が____……………。
この人たちは、
「綺羅を返せ」
遥輝達だ……………。
下っ端くんも含め、RYUSEIの皆で来てくれたんだね……。
萌ちゃんも無事に合流してて何より。
「渡せねぇな」
お姫様抱っこをする凌馬さんの顔が一瞬険しくなるのが見てわかった。
「君たちRYUSEIでしょ?この子仲間なの~?」
後ろにいた旭川さんが口を開く。
「大切な仲間だ。コイツは俺達RYUSEIの姫だ!!!」
遥輝のその言葉に胸が苦しくなる。