記憶を失くした少女【完】
何が起きたのか直ぐには理解できなかったけど、取りあえずお礼を言おうと後ろを振り返ると、そこにはさっきの男の人たちと同じ制服を着た、きれいな赤髪の男の人が立っていた。
「………あの、ありがとうございます」
助けてくれたんだよね?
私の言葉に返事は帰ってこない。
ただ私の顔をジーッと見てるだけ。いや、睨んでる?
「あの…………」
再び恐る恐る話しかける。
「気をつけろよ」
「え?あ、はい!」
突然返って来た言葉に戸惑うが、やっぱり助けてくれたって捉えていいんだよね?
「お前学生か?」
「あ~………うん」
とか言ったら、私もサボってるみたいじゃん…………。
私の場合は休学だから!
「らしくねぇな」
「え?」
「お前のようなやつがサボりなんてするんだなって思っただけだ」
あ、やっぱりサボりだと思われてた!
「…………………私は休学中」
初めてあった人にこんな話はどうでもいいか。
「ふ~ん」
ほら、やっぱりどうでもいいって感じの返答だ。