記憶を失くした少女【完】
「外に出てよかったのか?」
「うん。もうお医者さんが退院していいって言ってた」
今はもう体とかあんまり痛くないから大丈夫。
「ここの通りはさっきの奴みてぇにガラの悪いやつが良くいるから気をつけろ」
そ……そうだったんだ。
ぶらっと歩いているうちにお店がどんどん少なくなってきたなぁ~とは思ってたんだけど、やっぱ人気が少ないとこは危ないね!
今度から気をつけよう…………。
「ありがとうございました。それでは」
頭を下げてもう一度お礼を言い、帰ろうとした……………………が、
「あれ?」
適当に歩き過ぎた…………………どこから来たのか分からない。
たぶんこっちから来たはずなんだけど、あっちだった気もするし。
………………もう。全部似たような建物ばかりってのがズルい!!
「……………………送ってく」
男の人は呆れたようにそう言った。