記憶を失くした少女【完】
その場所から歩いて数分後。
私が買い物をしていたお店の辺りまで戻ってくる事が出来た。
「本当にありがとうございます」
2回も助けていただいたようなものだよね。
何かお礼ができたらいいけど、もう会う機会もないだろうしなぁ。
「…………名前」
「へ?」
「名前教えろ」
なんか言い方が危険なやつだ。
まさか、名前を知って保証人のとこに私の名前を書く気だな!?
「早く言え」
そんな冗談はさておき……………………言わないと逆に身の危険を感じる。
「山田き_……」
最後の言葉を言おうとしたとき、いきなり現れた女の子により途中で遮られた。
「あ~!いたぁ♪」
私と男の人の間に割り込んできたのは制服を着たセミロングの髪をパーマさせた茶髪の可愛らしい女の子。
「萌(もえ)」
どうやらその子は男の人の知りあいらしい。
と、言うか待ち合わせしてると言っていた仲間の子っぽい。
「どこいってたの?探してたんだよ!」
もしかしたら、あの人こそ迷子だったんじゃ……………。
「あ、遥輝いたー!」
「本当だ。もう、急にどっか行くから萌ちゃんずっと探してたんだよ?」
待ち合わせしてるっていうより、ここに来たら仲間に会えるだろうって考えたんだね、きっと。
というか、後から来た男の人達…………………ガラ悪そう。
いや、こうやって集まられるとヤンキーの集団に見えてくる。
「あれ~?その子は?」
やっぱ、そうなるよね……………。
まぁ、名前言う途中だったけど山田ということで勘弁して。
「それじゃあ、私は………」
「あ、おい……っ!」
私は軽くお辞儀をしてそそくさとその場を離れた。