記憶を失くした少女【完】
それと、アイツ。
不思議と他の女と一緒には見えない。
「あ、そう言えば萌ね。誤って書類を廊下にバラまいちゃったの」
「おいおい、ちゃんと持ってたのか?(笑)」
「大平のその顔うざいから!あの時の黒髪の子が拾ってくれたの!あの子もこの学校だったんだねぇ~遥輝くん?」
急に俺に話を振られる。
「あ?なぜ俺?」
「え、だってあの時一緒にいたじゃん。萌えたちが遥輝くんを探してたとき!」
……………………あぁ、あれか。
よく思い返してみれば、あの時萌が偶然現れて一緒にいた山田綺羅みて、『誰?』って聞いてたんだった。
あの後、偶然会ったやつって話したんだけどな。
「あ!あそこに一緒にいた女は山田綺羅だったのか!!!!」
萌の言葉に大平が大声で反応するもんだから、萌にバレてしまった。
まぁ、隠すつもりはなかったんだけどな。
「え?山田綺羅って金髪の子じゃん。しかも、休学してるのにいるわけないじゃん!大平ばかじゃん(笑)」
「それが、あの黒髪が山田綺羅だったんだよ!!ビックリだよな!!」
「そうだったんだ……!変わったねぇ~…………」
そう言えば、萌は山田綺羅に嫌がらせされてたとか、大平達が言ってたな。
あんまり大事にはならなかったのは、山田綺羅が直ぐに嫌がらせをやめたらしいが、『仲間に手を出しやがって』と、当時は幹部会議でどうするか話し合ったっけ。
俺にもしつこく付きまとっていたらしいが正直興味なかったから、覚えてもねぇ。