記憶を失くした少女【完】



それと、アイツ。


不思議と他の女と一緒には見えない。


「あ、そう言えば萌ね。誤って書類を廊下にバラまいちゃったの」


「おいおい、ちゃんと持ってたのか?(笑)」

「大平のその顔うざいから!あの時の黒髪の子が拾ってくれたの!あの子もこの学校だったんだねぇ~遥輝くん?」


急に俺に話を振られる。

「あ?なぜ俺?」

「え、だってあの時一緒にいたじゃん。萌えたちが遥輝くんを探してたとき!」

……………………あぁ、あれか。


よく思い返してみれば、あの時萌が偶然現れて一緒にいた山田綺羅みて、『誰?』って聞いてたんだった。


あの後、偶然会ったやつって話したんだけどな。


「あ!あそこに一緒にいた女は山田綺羅だったのか!!!!」

萌の言葉に大平が大声で反応するもんだから、萌にバレてしまった。


まぁ、隠すつもりはなかったんだけどな。


「え?山田綺羅って金髪の子じゃん。しかも、休学してるのにいるわけないじゃん!大平ばかじゃん(笑)」


「それが、あの黒髪が山田綺羅だったんだよ!!ビックリだよな!!」


「そうだったんだ……!変わったねぇ~…………」


そう言えば、萌は山田綺羅に嫌がらせされてたとか、大平達が言ってたな。


あんまり大事にはならなかったのは、山田綺羅が直ぐに嫌がらせをやめたらしいが、『仲間に手を出しやがって』と、当時は幹部会議でどうするか話し合ったっけ。


俺にもしつこく付きまとっていたらしいが正直興味なかったから、覚えてもねぇ。


< 81 / 245 >

この作品をシェア

pagetop