記憶を失くした少女【完】
【side綺羅】
「最近、お弁当作るようになったんだ~!」
「へぇ、お前がね?笑」
「なに!?私が作るのそんなにおかしい!?」
一度家に帰って少し日が暮れた頃に、またいつものように凌馬さんのバーに来た。
最近、これが日課になってる。
お金は親が生活に困らない程度に口座に振り込んでくれてるみたいだから、生活費とか食費とかには特に困らない。
学費も振り込んでくれてるみたいだし。
「写真とかあるの?」
「あ、うん。確か撮ったような………………あった!ほらね」
そう言って力作の手作り弁当写真を凌馬さんに突きつける。
「わ、お前料理上手くなったなぁ!味はともかく見た目がいいわ(笑)」
「ちょっと、味もいいんだからね!?なんなら、今度作って持ってくるから!」
凌馬さんとそんなやり取りをするのが、何だかんだ楽しい。
「分かった。俺が味見してやる(笑)」
「ぎゃふんって言わせてやる!」
「はいはい(笑)ほら、明太子パスタとメロンソーダ」
そう言って私の前のカウンター席に置いた。
凌馬さんの料理は本当に美味しい。
普通の料理店より上かも(笑)
本人には言わないけど。