記憶を失くした少女【完】



「それでも、いきなり仲間は無理…………心の準備が出来てないし……………………それに、私のこと仲間に話したの?」


「……………言えば分かる奴らだ」


いや、事前に言っても反対されてたと思うけどなぁ……………。


だって、私は姫に意地悪をしていた女、だからね?


忠告だって受けたし…………。それなら、普通の友達になってくれた方が私は嬉しい。

「………………友達にして」

「は?友達??」

蘇芳遥輝は私の言葉にポカン………とした顔をした。


「私の話し相手になってよ。仲間になるのは急には無理だけど、友達になって、知っていってそれから仲間になるか決めたい」


そして、仲間の人にも今の私を知ってもらいたい!


蘇芳遥輝は嫌そうな顔をしてたけど、何とか納得してくれ、関係的には友達になれた。

ほぼ強制的にLIMEのIDを交換し、友達のところに、初めて凌馬さん意外の名前が表示される。


「お前のことは綺羅って呼ぶから、お前も俺のことは遥輝って呼べ」


「え!?いきなり呼び捨て………??」

誰かのことを呼び捨てで呼んだことないのに、難易度高いよ………………。

「だって、お前俺のことフルネームで呼ぶじゃん?」

「じゃあ、君付けで!!」

「……………いや、呼び捨てだ」


一体、なんのこだわりよ…………………。

自分は呼び捨てで呼んでるのに、相手からは呼び捨てで呼ばれないのは嫌だとでもいうのか……。


……………まぁ、ここは私が折れるか……。


「分かった。じゃあ、遥輝って呼ぶ」


私がそう言うと、遥輝は優しくフッと笑った。



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