黄色いレシート
過去の宝物~第5話~
今日も、今か今かと店の入り口を見てしまう。


常連客だったあの人とお店の以外な接点を知ってから、タエは毎日あの人が来るのを心待ちにするようになった。


あの人はいつも昔の写真を持って来てくれて、看板を書いてくれた人を見せてくれた。


白黒写真だし劣化もしているけれど、優しそうにほほ笑んだ顔は彼によく似ていた。


その写真の中には、昔タエを助けてくれたお店の亭主の姿もあって、タエは胸の奥がジンジン痛くなるのを感じた。


タエを助けてくれた亭主はもういないけれど、助けてくれたタエはまだこうして店の手伝いができている。


タエはすっかり化け狸になってしまったけれど、人間への恩だけは忘れていなかった。


こうして大好きな場所でコツコツとお金を稼ぎ、人と同じように生活することがタエにとって幸せだった。
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