黄色いレシート
その時もまた女子たちが愛花ちゃんを取り囲んで騒いでいた。


毎日毎日愛花ちゃんの髪に触れている女子たちを見ると、胸の奥がウズウズした。
羨ましい。


きっと、そんな感情だったんだ。


気が付けば和斗は貸してもらった教科書を持ったまま、愛花ちゃんの席へと近づいていた。


何でもいい、愛花ちゃんと話がしたい。


挨拶でもなんでも、それができれば一歩前進だ。


そう思って近づいたんだ。


なのに……。


「なによ?」


4年生の頃同じクラスだった女子が、怪訝そうな顔でそう声をかけて来た。


気が強くて男子に混ざっていても違和感のないような女子生徒だ。
< 16 / 212 >

この作品をシェア

pagetop