黄色いレシート
和斗はチラリとその子の方へ視線を向け「別に」と呟いて愛花ちゃんを見た。


会話をしたことのない和斗が近くに来たことで、愛花ちゃんは戸惑った顔をしていた。


昔のクラスメートに話かけられたことで、和斗は気まずくなっていた。


だからここで踵を返して自分のクラスに戻ればよかったのかもしれない。


多少変だと思われてもいいから、『やっぱりなんでもない』と言って教室を出ればよかった。


だけど、和斗はそうしなかった。


目の前に好きな子がいる。


その事で心臓は大きく高鳴り、緊張して上手く考えがまとまらなかった。


そしてそのまま、言葉を口にだしてしまったのだ。


「お前らさ、いつもベタベタし過ぎてて気持ち悪いよな」


違う。


こんなことが言いたいんじゃない。


それなのに、和斗は言ってしまった。
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