黄色いレシート
しばらく歩くと、お目当てのお店を見つけることができた。


テントの中から友がこちらに気が付いて手を振っている。


タエの頬がポッと染まり、シッポがぴょこんと出て来てしまった。


その様子を見ても驚く人はいない。


タエはこの姿で町の人たちに受け入れられているのだから。


「一緒にいたらお邪魔かな?」


堤さんはそう呟き、そっとタエから離れた。


タエはその事に気が付かず、友へ近づいていく。


友とタエが仲良く会話をしている様子を見つめて、堤さんはほほ笑んだ。


「あの様子じゃタエが人間になる日も近いね」


不意にそう声をかけられて振り返ると、そこには知り合いの漁師が立っていた。


今日はお客さんとして会場に来ているようで、手には沢山の商品が入った袋が握られている。
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