甘い魔法にかけられて
「やっと起きたね」

マグカップを持ったKY登場

掛け布団を手繰り寄せ
身体に巻き付けながら

真っ白になった頭をフル回転させていた

・・・ここはダレ??私はドコ??

今度はパニックで頭を抱える

「柚ちゃんさ〜潰れちゃって・・・仕方ないから俺が送って行くことになったんだけど家が分かんなくてさ、仕方ないからうちに連れてきたの」

・・・潰れた?仕方ないって2回言った

・・・柚ちゃんって馴れ馴れしくない?

・・・記憶がないだけで何かあった?


「寝るのにどうかと思ったから俺のTシャツ着せてみた」


クククと笑う顔を見て

カーーっと顔が赤くなる

間違いなく下着姿を見られた
それだけで思考停止

「ほら、とりあえずコーヒー煎れたから顔洗ってきて」

使い捨て歯ブラシとタオルを渡されると
バスルームへ押し込まれた

「わ、わっ」
洗面台の鏡には
髪ボサボサで目が腫れたオバケ

失態を恨みながら
ズキズキと痛む頭を庇うように
ゆっくりと顔を洗った

そっと扉を開くと
目の前に笑顔のKYが待っていた

「・・・っ」

・・・何か言わないと
ボンヤリする頭の中をグルグルかき混ぜるのに
お礼の言葉さえ出てこない

そんな私を見てもう一度クスッと笑うと
大きなマグカップを手渡し

『朝ごはん食べよう』

長身のイケメンは
白い歯を見せた
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