甘い魔法にかけられて
「昨日はご迷惑をお掛けしました」

「もう平気なの?やっぱ若いって良いわよね~回復が早くて」

ズル休みをした翌日は
デスクの上を想像しながら

戦闘モードだったのに

三上さんと小宮さんが
全て片付けてくれたようで

仕事の残りは無かった

相変わらず

「柚ちゃ~ん、これは?」

ウザイ限りのKYも
いつも通りの涼しい顔で
何度も懐いてくる

髪の長い女性がお姉さんだと分かって
肩の力が抜けた昨夜は

「なになにヤキモチ?嬉しいね〜」
一方的に頰を緩ませたKYと
どこかホッとして肩の力が抜けた私で
お喋りが続き

KYが帰った後は
盛大にお腹が空いて

ストックしていた
レトルトカレーとカップヌードル
更には大判焼きまでチンして食べ

簡単な自分を大いに笑った

そして・・・

諦めなくても良い初めての恋に
時折KYを視線で追っては

わかり易く下を向いてニヤケていて

伊達メガネも顔を隠す髪の毛も
違う意味で役に立っている


目の前の席なのに
偶に届くメールにも
平静を装う

何度目かのメールに

“【一宿一飯の恩義デート】
今度の週末空けといてね”

わざわざ【 】が付いていた

意味もなく
【了解しました】
返信にも【 】を付けて
含み笑いの2人

そんな小さなやり取りを重ね
ドキドキはピークを迎えていた
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