甘い魔法にかけられて
結婚して半年を過ぎた頃
航平さんに一週間の社内研修が決まった
それを翌日に控えた夜

「柚を一人に出来ないなぁ」

開口一番腕の中で聞いたのは
そんな甘いセリフ

「大丈夫です」

子供じゃないんだからと
繋げる口を塞がれる

「んっ、ん」

どんどん深くなるキスに
呼吸が乱れて彼に掴まっているのがやっと

少し離れると
「ほら、こんなこともあんなことも出来ないだろ?」

色っぽい目を囁かれると
身体の奥がトクンと揺れる

潤んだ目で見上げるだけで
「帰って早々に煽られると止まんないよ?」

妖艶さの中に獰猛な灯が点いた

「や、あ・・・んんっ」

唇を塞がれたまま
ソファに押し倒されると

「煽った柚のせい」

エプロンの紐がシュルッと解かれた



。



結局声が掠れる程の時間を
ソファで過ごした後

すっかり冷めてしまった料理に
火を入れた

向かい合って食べながら

「航平さん・・・研修の間、みどり屋に帰って良いですか?」

寂しいからと理由を繋げるはずが

「お袋からたまには柚の顔が見たいって電話があった」

悔しそうな顔の航平さんを見て
その言葉を飲み込んだ

「まぁ、一人にするには心配だからな」

自分を納得させるように渋々話す航平さんに

「帰りは迎えに来て下さいね」

笑顔を向けることにした
< 86 / 90 >

この作品をシェア

pagetop