幸せのカタチ〜Fleeting memories〜
「たしかに初めは楽しかった。何もかも新鮮で…ただ最近になって気付いてきたことがある…」
昇太が俯き、少し沈黙が続いた。
「なんかあったのか?喧嘩でもした?」
俺は名前は出さなくても誰の話なのかすぐに分かった。
でもこんなに悩んでいた昇太を見るのは初めてだったので少し戸惑っていた。
「喧嘩はしてないよ。ただ俺自身がダメなんだって思うようになってきてて…」
昇太は終始俯き、自信なさ気に呟いた。
「自信持っていいんじゃね?少なくとも俺はいい関係だと思ってるけど」
俺は昇太を元気づけるように言った。
「いや、違うんだ。なんて言うか…うまく言えないけど、俺はあの人の前じゃ俺じゃない気がする…」
昇太は俺の方をチラッと見て続けた。
「俺にとっては涼といる方が俺らしくいれるみたいだ。」
俺は『何言ってんだか』と思い、少し冗談交じりに言った。
「そりゃそうでしょ!誰でも好きな人の前ではカッコつけたがるもんでしょ!」
昇太はまたまた俺をチラッと見て、深いため息をついた。