幸せのカタチ〜Fleeting memories〜

「奥野さんって実際昇太のことまだ気にしてるんじゃないかなーと思ってる」

俺はボソッと自信なさげに小声で言った。

すると昇太はハハハと笑いながら答えた。

「いやいやそりゃないでしょ!まぁ向こうの気持ちはわかんねーけど、少なくとも俺はもうなんとも思ってないから安心してくれ!」

俺は俯いたまま話を続けた。

「でも俺との会話やメールのやり取りの中で昇太のことなんて全然出てこないし、俺も触れちゃマズイのかなーと思って言い出せないし…」

「んーまぁどんなやり取りしてるかは知らねーけど、過去のことなんだし、終わってることでもあるから大丈夫だって!俺マジで別れてから会ったりとか連絡取ったりとかしてねーからな!(笑)」

昇太は終始笑顔で答えてくれた。

「俺の考えすぎなのかなーでも昇太は正直俺が奥野さんのこと好きって聞いてどう思った?」

俺はもうここまできたらとことん聞く気で昇太に聞いてみた。

「どうって…そうだなーなんつーか…」

昇太は珍しく恥ずかしそうに声を籠らせた。

「一言で言うと嬉しい!かな!!」

俺の肩をポーンっと叩いて昇太は言った。

「嬉しい??」

俺はポカーンとして昇太を見た。

「うん。だってもうなんとも思ってないとはいえ、一度は付き合った人だからな!その人が次に付き合うのが涼なら安心だし、なんつーかむしろ涼でよかったって思えるし!だから嬉しい!」


昇太からの返答は俺の予想していないことだった。

まさか昇太が嬉しいなんて言ってくれるとは思ってもみなかった。

「おっおう!ありがと!頑張るわ!」

「頑張ってくれよ!何でも話聞くからな!」

昇太に後押しされ、俺はこのまま自分の気持ちに素直になる決意を決めた。
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