土方歳三の熱情
「私はまだその姿を見たことがないから土方さんの怖さが分からないということですか」

「そうだな、土方さんの戦う姿を見たら鬼というのがおおげさじゃないと分かるだろう。
まぁ土方さんが隊士達から怖れられてる理由はそれだけじゃあないんだけどな」

「土方さんが隊士達から怖れられている理由?
他にも何かあるんですか?」

「まぁそれはじきに分かるよ。
とにかく間違えてもあの人には逆らわないことだ」

「はぁ」

さっき皆が笑っていた時に土方さんの目は笑っていなかった。

まさか私が女かもしれないと疑ったのだろうか?

他の人の目はごまかせても土方さんのあの鋭い目だけはごまかせないのかもしれない。

新撰組の荒くれ者達から鬼の副長と怖れられる土方さんにもし疑われているなら、
私は果たして女だということを隠し通せるのだろうか。

いつのまにか私の心は不安な気持ちでいっぱいになっていた。
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