土方歳三の熱情
chapter5
新撰組に入ってから早くも十日が経過した。

その後も二度ほど小規模な戦闘に参加したが、
やはり島田さんと木村さんとの組は強力で、
一度も危険を感じることはなかった。

平の隊士達は普段から武術の修練とか学問の時間が設けられていて忙しそうにしているが、
私は役職を与えられた身なので自由になる時間が意外と多い。

おかげで二日に一回は昼間のうちに実家に帰ってお風呂に入ることができる。

このぶんならなんとか新撰組の隊士としてやっていけそうだなと思う度に、
でももし土方さんに疑われているんだとしたらこのままで済むとは思えないなという憂鬱な気持ちが頭をもたげる。

「おい篠田! 甘いのは好きか?」

背後から島田さんの必要以上に大きな声が響く。

私はビクっとして振り返る。

この十日間で分かったのは、
この人の声のボリューム調節が強と弱の二種類しかないということだ。

「好きか? 甘いのは」
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