その手が離せなくて

一気に心が満たされて、気持ち悪い笑みを浮べながらサンドイッチを口に運ぶ。

すると――。


Trrr・・・・・・


突然携帯の着信が鳴って、驚いて小さく跳ねる。

画面を見ると、声が聞きたかった人からの着信だと分かり、胸がキュッと縮まった。

慌ててサンドイッチを口の中に放り込んで、携帯を耳に押し当てる。


「も、もひもひ」

『何か食ってる?』


その言葉を聞いた瞬間、あんな大口を開けてサンドイッチを押し込んだ事を後悔した。

急いで飲みかけのコーヒーで流し込もうとするが、喉につっかえてしまう。


「だ、だいひょうぶれす」

『聞いてる感じ、大丈夫そうじゃないけど』


クスクスと笑う一ノ瀬さんの声を聞いて、少し恥ずかしくなる。

ドンドンと胸を叩いて飲み込むと、『ゆっくりでいいぞ』と笑われた。

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