その手が離せなくて
ポツンとマンションの前で、ただただ立ち尽くす。

彼の言葉がグルグルと頭の中で回る。


待って待って。

落ち着いて。

タイプが、『人間らしい人』で。

私も、彼にとったら『人間らしい人』って事は。

それって、つまり――。


ゆっくりと頭の中で彼の言葉を整理して、ようやく結論に達する。

都合のいいように解釈しているけど、もしかして。

それって・・・・・・私は彼の『タイプ』にあたる人って事――?


そう自分の中で呟いた瞬間、一気に頬が上がる。

嬉しさが込み上げて、胸がギュッと締め付けられた。


あぁ、やっぱり好きだと思う。

こんなにも胸が締め付けられるんだから。

好きで好きで、堪らないんだと思う。


まるで乙女の様に持っていたバックをギュッと抱きしめて、キャッキャとはしゃぐ。

沈んでいた心が、彼の最後の一言で虹色に変わった。


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