クールな公爵様のゆゆしき恋情2
馬車で移動して三日目に、リードルフ地方に到着した。

私達が滞在するヒルト家の館までは、あと一刻ほどで着くという。

「ラウラ、疲れていないか?」

「大丈夫です。私結頑丈なんですよ。ベルハイム王都とアンテスはもっと遠いけど、行き来で体調を崩したことはありませんし」

笑顔でそう言っても、アレクセイ様は何かと世話をやいてくる。

前から思っていたけど、結婚してからのアレクセイ様は特に過保護だ。

「アレクセイ様、それよりもリードルフの街について教えて下さい。私なりに事前勉強はして来ましたけど、よく分らないことも多くて」

「そうだな。リードルフの街は、ラウラが今まで目にしたアンテス城下街や、フェルザーの街とは全く雰囲気が違う。住民の八割以上が鉱山で働いていて、男女ともに気性が豪快だ。色々と驚く事もあると思うが護衛もいるし危険は無いから安心していいからな」

「荒々しい……言葉遣いが乱暴とかですか?

考え見ると、今まで私が接して来た人達はある意味ふるいにかけられた、安全な人達だばかりだ。荒々しい人には免疫がない。

「言葉遣いはラウラからすれば乱暴にしか感じないだろうな。内面も強烈だ、あの気の強さと来たら……」

アレクセイ様は誰かを思い出しているのか、クスリと笑う。

リードルフに余程気の強い知り合いがいるのかもしれない。

「……なるべく早く慣れるように頑張ります」

「ああ、でも染まらないでくれよ? 俺はラウラには今のままで居て欲しいからな」

アレクセイ様の青い瞳が優しく私を見つめる。
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