クールな公爵様のゆゆしき恋情2
「閣下、お食事中申し訳ありません」
男性は、アレクセイ様の公務の補佐を務めている側近のひとりだ。
彼はアレクセイ様に書類を渡しながら、小声で何かを報告している。
私のところまで声は届かないから、何の話か分らないけど、アレクセイ様の顔が険しくなっているので、良く無い知らせなのかもしれない。
彼は手短に報告を終えると、私にも礼をしてから去って行った。
「ラウラ、悪いなせっかくの食事の邪魔をして」
アレクセイ様が気まずそうに言う。
「いいえ、急ぎの知らせだったのでしょう。何か問題が起きたのですか?」
「いや、大丈夫だ。ラウラは心配しなくていい」
アレクセイ様は作ったような笑みを浮かべながら、穏やかに言う。
多分、私を安心させようとしてくれているのだろう。だけど……。
「私にもできそうなことが有れば、何でもおっしゃって下さいね」
「え?」
アレクセイ様が怪訝な顔をする。
「私も公爵夫人として、フェルザー家の役に立ちたいんです」
彼を支え助けられる妻になりたい。
マイヤー夫人にも、公爵夫人としての自覚を持つようにと日々言われている。
アレクセイ様に守られ、侍女に傅かれているだけでは駄目なのだ。