強引ドクターの蜜恋処方箋
12章
年が明け、雄馬さんは内科に移動になり、私はまた来週から実習でT大学病院に行く予定になっていた。

初めての実習よりも幾分落ち着いて準備を整えている。

次は外科に行く予定だった。

恐らく、オペの連続で前回以上に緊迫した日々になるだろうと思う。

「チナツさん!」

教室で予習をしていたら、ユウヒが私の横にぴょんと腰をかけた。

「私も実習、外科病棟の勤務に決まりました。チナツさんと一緒だからがんばれそうだな」

そう言いながら、ユウヒも予習ノートを広げる。

「うん、がんばろうね」

「はい!」

ユウヒは頬をピンクに染めて目をキラキラさせていた。

雄馬さんは、あれから私との結婚についてお父さんに何度も話し合いを持ってくれていた。

でも、断固として自分の知らない女性との結婚は認めてもらえず、私にすら会ってもらえない状況が続いている。

待ってるだけっていうのは辛くもあるけれど、これはしょうがないって自分に言い聞かせてる。

私は何処の誰かもわからない、ただ自分の息子と以前職場が一緒だったってだけなんだもの。

お父さんが心配になってしかるべき。しかもあれだけ立派な教授なんだから。

窓の外を見て、「ふぅー」と長いため息ををついた。

「あー。チナツさん、ため息なんかついちゃってどうしたんですか?」

ユウヒは私の顔をのぞき込んだ。

「そうねぇ。だめよね。ため息なんかついちゃ。」

「そんなことありませんよ!ため息でるくらい辛いことがあるなら、私に何でもぶちまけちゃって下さいね!彼氏の不満とか!」

「あはは、そんなんじゃないよ」

私はシャーペンの後ろで軽くユウヒのおでこを突いた。

「そっか、だってチナツさんの彼氏はすんごく優しいんですもんね。喧嘩もしたことないって言ってたし」

ユウヒはペロッと舌を出して笑った。

最近は、天真爛漫なユウヒといると心が癒される。

大丈夫。

雄馬さんを信じて待っていよう。


家に帰ると、母から久しぶりのエアメールが届いていた。



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