紅の葬送曲


その双子の片割れの行方を医師に尋ねたが、分からないと言われた。




何故分からないのか問いただしても医師は黙秘し、唯一話したのは妹の死に際に言った「切碕さん」という言葉だった。




俺はその話を聞いて寿永様にそのことを相談し、紅緒と切碕の親子関係を知るためにDNA鑑定にかけた。




お前と切碕のDNAの型は一致し、親子関係が立証された。





俺は戸惑ったと同時に、紅緒の運命を悲観した。





殺した方が良いのかもしれないとも思った。




でも、寿永様はその事実を知ってもなお紅緒を監視下に置くことはせず、普通の子供として育てることを俺に諭した。





生まれた命に罪はない、殺人鬼の子供だとしても自由に生きる権利はある、と。




確かにそうだと思った。




生きる権利を俺が奪ったらいけない、俺はいつでも紅緒の味方でいようと寿永様の言葉で決心させられた。





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